大人にだって心の安全基地は必要〜心の安全基地の構築と繋ぎなおし〜

安全基地とは

安全基地とは、発達心理学者のメアリー・エインスワースによって提唱された人間の愛着行動に関する概念です。安心感や心地よさが保証された関係性や環境を意味します。

つまり恐怖や不安など不快な感情を受け止め、安心感を与えてくれる存在や環境のことです。

安全基地は小さな子供とその養育者の愛着関係を語る時に使われる言葉です。

親や養育者によって育まれる見返りや駆け引きなしの愛情に溢れた環境は幼い子供の安全基地となります。

子供が親や養育者を『心の安全基地』と感じることができていると、心の安全基地をいつでも帰ることができる『心のよりどころ』にして、未体験のことに色々とチャレンジしたり様々な探索行動をすることができます。

たとえ失敗をしても、友達と喧嘩をしても、怪我をしたとしても安全基地に帰れば大丈夫なんだと思える心強さや安心感があることは、成長の大きな支えとなってくれるのです。

心の安全基地と成人後

子供時代に心の安全基地として機能する存在がいることは成人後の生活にも大きな良い影響をもたらすと言われています。

子供の頃に大人に大切にしてもらえた実感がある人と大切にされた実感がない人では、大切にしてもらえた実感のある人の方が、自分自身も大切にできますし、大切にされる存在なんだと自分の存在に自信を持って生きられます。そして自分を信頼し大切にできますから人間関係で相手も大切にできるのです。

そして挫けそうになっても疲れてしまっても傷ついたとしても日々たくさんの困難に立ち向かえるのは、心の安全基地があるからなのです。いつでも帰ることができホッとできる心の安全基地がある心の安定感と安心感があるのと無いのとでは生きやすさに大きな違いがあります。

もし親や養育者と愛着関係を作れず心の安全基地がないまま大人になると、心が不安定で気分にムラがあったり、誰かに依存していないと不安感を抱いたり、地に足がついていない不安定さを抱いたりなど生きづらさを抱えやすくなります。

心の安全基地の構築や繋ぎなおし

愛着問題からの回復

親や養育者と健全な愛着関係を築けないことで心の安全基地が無かったり薄かったりします。

愛着が理由で心の安全基地がない方は、愛着問題からの回復とともに、友人、恋人や配偶者と共に支え合いながら克服を目指したり、または精神科医やカウンセラーに一時的に心の安全基地となってもらい日常における不安感や恐怖や心細さを話す時間を定期的に作ることもとても効果的です。

他にはバタフライ・ハグや、心地やさを感じることのできる場所を作り定期的に行くことも効果的です。

トラウマが関係していたら

そしてトラウマにあった方は、元は心の安全基地はあってもトラウマにあったことで心の安全基地と断裂されてしまい繋がれていないことが多くあります。

トラウマは今ココの環境や人との繋がり、そして自分自身との繋がりが断裂されたり繋がりが薄くなってしまいます。

なので専門家と一緒に心地よさを少しずつ深めながら、今ココと人と自分自身と繋がりなおしをしていく必要があります。