強迫性障害の苦しみ
不潔恐怖、加害恐怖、不完全恐怖など、強迫の種類は様々ですが、どの強迫もとても辛く、人に理解されづらいですね。
不安と恐怖しかない世界に生きている感覚
強迫を抱えていると不安と恐怖の中から出られずに、やりたくないのにやらないと大きな苦しみに押しつぶされそうになるし、自分の意思に反して不安や苦しい思考が湧き出てきて、自分ではコントロールできないため、自分が自分でなくなっていく感覚を覚える方もいらっしゃると思います。
さらには、インターネットなどでこの障害のことを調べても、寛解するまでにたくさんの苦労があるし何年も何十年もかかることもある。なんて書いてあったり…うまく付き合っていくしかない。と書いてあったりして絶望してしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
周りに理解してもらえず、時にはイヤな目で見られて、なんともいえない恥ずかしさだったり悔しさだったり惨めさを感じるような悲しい経験もされたかもしれないですね。
いつ寛解するかもわからなく未来が見えなくなってしまったかもしれません。
強迫に振り回され、強迫に支配され、毎日疲労感でいっぱいかもしれませんね。
「強迫性障害の自分なんて」と自分のことが嫌いになってしまっているのかもしれませんね。
とてもお辛い状況で頑張り続けてきましたね。
私の経験
私もひどい強迫に悩まされたことがあります。
どれだけ洗浄しても除菌しても汚れが取れた気がしなくて、汚いことが恐ろしく、許せず、なんとかしたくて…
何十回と綺麗にするための行為を繰り返してやっと納得できたと思えても、またすぐに汚れてしまった気がして綺麗にするための行為を一日中していました。
お風呂場から20時間以上も出れなくなってしまったり、1日に石鹸を5個も6個も使ったり、アルコール除菌ウェットティッシュを1,000枚以上使う毎日を過ごした事があります。水道を使いすぎて水道局の方が心配して訪問してくださったこともありました。
そのほかにもたくさんの強迫や強迫のルールがあり、常に怯えていました。
強迫行為で体力も時間も奪われ、そして常に過覚醒状態で何かに警戒していて休まる瞬間はありませんでした。
私の一番つらかったこと
克服した今、当時をふり返って私にとって1番つらかったことは強迫ではなく、ありのままの自分を受け容れられず強迫がある自分を責めていたことでした。
この障害は自分でばかばかしいとわかっているけれど、不安感が強すぎて強迫観念は静かにならないし、強迫行為を何が何でもしたく…してしまいますよね。
そうなんです。わかってはいるのです。なのにやめることが出来ないがために、自分を責めてしまうのですよね。
そして家族にも迷惑をかけていると感じていて、その申し訳なさと、自分の人生を強迫に壊された悔しさでいっぱいになり自分が大嫌いで自分を無意識的にもいじめていました。
この自分を責めるエネルギーは気力を奪うほど強烈なものなのです。それなのに「こんな自分が嫌」で毎日毎日、自分責めをしていました。
全ての自分に寄り添った
不安になっている心の声と、その不安になっている自分を責める心の声と、強迫をやめたい心の声と、強迫行為をやめるのを許さない心の声と、不安を探そうとする心の声で、頭の中が忙しかったです。
心の葛藤ですね。
全ての気持ちに寄り添っていきました。どの気持ちも、最終的に求めているものは同じだったのです。
自分を守りたかったのです。
無意識の深い部分で何か危険を感じていたのです。
この心の声を統合していったことが克服につながりました。
乗り越えられる
あなたも、強迫になるほど
何かを守るためにたくさんの気持ちなど、自分を抑圧してきたのかもしれません。(幼い頃から当たり前で抑圧してることにさえ気がつかない方も多いです。)
自分の存在を無条件に認められなかったのかもしれません。
ありのままの自分を赦せなかったのかもしれません。
強迫を抱えている方は感情や思考が複雑に絡み合っている傾向があります。
一つずつ紐解きながら自分を理解していくことが回復につながります。
とても苦しい強迫を抱えながらも今日までなんとか踏ん張ってきたご自身に優しくしてくださいね。